みなさまこんにちは。
少し前に問題となった“生産性がない”という、子供を産まない女性に対しての政治家の失言を覚えていますか?
私は難病で障がい者となってから子供を産むことはもちろん、まっとうに働くこともできませんので、人を“生産性”で位置付ける価値観の方から見たら“生産性2倍ない人間”と思われてしまうのでしょう。
障がい者を“社会に不要な存在”として、施設で大量殺傷した相模原市の事件も記憶に新しいです。
こういう利害損得で人間の価値をはかるような世間の風潮を考える時、私の中で強く心に響く言葉があります。
私が障がい者となるずっと前から心に響き続けている言葉です。
『僕みたいな障がい者(体の不自由な人、病気の人)は、人のやさしさを引き出すためにいるんだよ』
これはある障害(難病)をもった小学3、4年生の男の子の言葉です。
男の子とそのクラスを追ったドキュメンタリー番組だったと思います。
もう何十年も前なので、言葉が正確でないかもしれませんが、とても感動して心に刻みつけたことを覚えています。
…………………
〔ドキュメンタリーの内容ですが、うろ覚えな所もありますのでご容赦下さい〕
男の子はいつも自分が周りに助けてもらうばかりで、自分は何もしてあげられないと悩みます。自分も誰かの役に立ちたいと。(男の子は優しい性格でクラスの子達に好かれていて、みんな率先して車椅子を押して手助けしていました)
そこで、老人ホームを友だちと訪ねて、ご老人たちに造花を作ってプレゼントするのです。
ご老人たちはとても喜んで、“ありがとう、いい匂いがするわ”と男の子に笑って花を差し出します。
造花で匂いはしないはずなのですが、男の子はその花を嗅いで『とってもいい匂い~!』と満面の笑みを返すのです。(その時の嬉しそうな男の子の顔がまだ脳裏に焼き付いています)
多分男の子はその体験を通して気づいたのでしょう。
自分はあまり動くことの出来ないおじいさん、おばあさんを少しでも喜ばせてあげたいと思って、不自由な体でも出掛けていって花を作ってプレゼントした。
それと同じように、不自由な僕を見て、周りの友だちが助けてあげたいって思うんだ。
僕みたいな不自由な人たちは、周りの人のやさしさを引き出すことができるんだ、と。
うるうるしてます?
私も思い出しうるうるです。
(;_;)
それからしばらくして男の子は亡くなってしまいます。
でもそこで話は終わりではありません。
その10年後だったかな?
その男の子と一緒のクラスだった子達にインタビューしたのです。
どの子もみんな男の子を覚えていました。
そして男の子みたいな病気の子を助けたいと医学部に進んだ子、福祉の道に進んだ子、みんな男の子との経験で引き出された優しさを育て上げ、立派に自分の進路を決めていました。
衝撃的でした。
あっという間に天に還ってしまった男の子は、みんなのやさしさを引き出すために生まれてきた天使だったと思いました。
男の子の言葉がずっと胸にあった私は、自分が障がい者になってみてその通りだと実感しました。
ほとんどの方が車椅子の私に気付くと、道を譲ってくださったり、先に順番を代えてくださったり、優先しよう助けようと優しく接してくれます。ほんとに有難いです。
でも私も男の子と同じで、最初は何も出来なくなった自分が申し訳なく、障がい者として扱われるのが居心地悪く、誰かの役に立ちたいと気持ちばかり焦って、無理をして体を壊すということの繰り返しでした。
男の子は天使だったから、まだ小学生にも関わらず、自分の存在意義に短期間で気付き、自分を責めること、卑下することから心を解放出来ましたが、私は長くかかりました。
男の子ほど心が綺麗じゃなかったので、自分のおかげでみんながやさしさを出せるなんて思えなかったのです。ひたすら苦しかったです。
なんにも出来なくても、障がい者として引け目を感ぜず、このままでいいんだ、生きてるだけでいいんだと思えるようになったのは最近のことです。
私は障がい者として人にやさしさをかけてもらった時、にっこり笑顔で『ありがとうございます』と伝えています。
その人が、(困ってる人を助けて)いいことをしたな~と喜んでくれるように。
ちょっとウキウキいい日になるように。
前にも書きましたが、人は人に親切にしたり優しくしたりすると、オキシトシンという幸せホルモンが脳内に出るそうです。
もう名前も忘れてしまった天使の男の子、障がい者の存在意義を教えてくれてどうもありがとう。
私も、人のやさしさを引き出すお手伝いをさせてもらってるんだね。
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